離婚を考えた時に絶対にやってはいけない行動5選

夫婦関係に深刻なすれ違いが起きたとき、「もう離婚しかない」と考えるのは自然な反応です。

しかし、感情が高まった状態での判断は、冷静さを欠いてしまうことが多く、後々「どうしてあのときあんな行動を取ってしまったのか」と後悔につながります

特に、離婚を真剣に考え始めたときほど、無意識に「逆効果」の行動を取ってしまうケースが少なくありません。

では、離婚を考えたときに絶対にやってはいけない行動とは何か。心理学と夫婦カウンセリングの知見から5つに絞ってご説明します。

感情に任せて相手を責める・怒鳴る

夫婦間で不満が蓄積し、離婚を考えるほどの状況になると、「これまでの怒り」や「分かってもらえない悲しさ」が限界を超えやすくなります。その結果、次のような言葉や態度が出やすくなります。

  • 「あなたのせいでこうなった!」
  • 「いつもそうやって逃げるんだ!」
  • 「いい加減にしてよ!」

一見、正当な怒りの表現のように思えますが、相手にとっては攻撃・非難・人格否定と受け取られます

これが起きると、相手の脳は闘争・逃走反応(Fight or Flight)を発動し、

1.反撃(さらに怒鳴り返す、責め返す)
2.回避(無視、話し合いを拒否する)

のどちらかの行動を選び、建設的な会話の可能性を完全に消してしまいます

【責める・怒鳴ることで引き起こされる心理的悪循環】

1.怒りや批判を受けた相手は防衛心を持つ
2.自分の正当性を主張する(反撃 or 沈黙)
3.非難合戦や無視状態に発展
4.「相手は敵だ」という意識が強化される
5.心理的距離がさらに広がる
このサイクルを繰り返すと、関係修復への意欲が両者ともに失われ、離婚の決断を「やむを得ない」と感じさせてしまいます。

【心理学的根拠】

ジョン・ゴットマン博士(夫婦研究の第一人者)は、離婚を予測する最も危険な行動の一つとして「人格批判」を挙げています。

 

「あなたは○○な人間だ」と人格を攻撃すると、相手は自分の存在そのものを否定されたと感じ、関係の修復が非常に難しくなることが実証されています。

 

また、行動心理学でも、怒りに任せた批判や責め言葉は相手の変化を促すどころか、逆に変化を拒む態度(リアクタンス)を強めるとされています。

 

【やってしまった場合のリカバリー】

もしすでに怒鳴ったり責めたりしてしまった場合は、

1.「さっきの言い方は感情的すぎた。申し訳ない」
2.「本当は〇〇と感じているのをうまく伝えたかった」

言葉でリセットすることが重要です。
感情表現を責める行為から自己開示に切り替えることで、再び建設的な会話への道が開かれます。

相手に無視・沈黙・「話し合い拒否」で対抗する

夫婦間で感情的な対立が激しくなると、「これ以上話しても無駄」「言ってもどうせ通じない」と感じ、相手とのコミュニケーションを遮断する行動に出がちです。

  • 相手が話しかけても返事をしない(無視)
  • 話し合いを求められても「もういい」と打ち切る(沈黙)
  • 「今さら話す意味はない」と対話そのものを拒否する

これらの行為は、心理学ではストーンウォーリング(Stonewalling)と呼ばれ、破局の四騎士(ゴットマン博士が提唱)の一つに数えられる重大な離婚予測行動です。

【相手に与える心理的ダメージ】

1.拒絶されたと感じる
 相手は「自分はもうパートナーとして認められていない」と解釈します。
2.感情的孤立
 不安や怒りを言葉にする機会を奪われ、「この人とは分かり合えない」と感じる。
3.防衛反応の強化
 無視や沈黙にさらされた相手は、攻撃(怒鳴り返す)か逃避(心の距離を取る)かの行動を選びやすくなる。

【心理学的背景】

ストーンウォーリングは、夫婦の間に「感情的安全性」(安心して気持ちを話せる空気)を完全に失わせます。

 

さらに、「無視」や「沈黙」は身体的な痛みと同じ脳領域(前部帯状皮質)を刺激するとされ、人にとって極めて苦痛な体験です。

 

無意識のうちに相手は「この関係はもう機能していない」「改善の可能性がない」と感じ、離婚や別居を「現実的な選択肢」と認識するようになります。

 

【なぜ多くの人がやってしまうのか】

・感情の高ぶりで「これ以上言葉を交わすと爆発しそう」と感じる
・過去に話し合いがうまくいかなかった経験から諦めている
・相手を「冷静にさせるため」と誤って沈黙を選ぶ

しかし、説明なしの沈黙や無視は「拒絶」と受け取られることがほとんどです。

【もし黙りたくなったらどうすべきか】

無言・無視を避けつつ感情を守る方法があります。

  • 「今は感情が高ぶっているから、冷静になる時間をもらえる?」
  • 「30分後(または明日の夜)に改めて話そう」

このように「冷却時間」を言葉で宣言すると、相手は「話し合いの意思はある」と理解し、防衛心を和らげます。

泣き落としや脅しを使う

離婚を切り出されたり、相手が明らかに心が離れていると感じたとき、多くの人が感情的な不安や恐怖に駆られます。その結果として無意識に次のような行動を取りがちです。

  • 泣いて「お願い、離婚しないで」「どうか考え直して」
  • 「離婚するなら子どもに本当のことを言う」
  • 「あなたを絶対に許さない」
  • 「離婚したら人生めちゃくちゃになるよ」

このような泣き落としや脅しは、相手の罪悪感や恐怖心を刺激して、決断を変えさせようとする心理的な圧力です。

【なぜ逆効果になるのか】

1.相手に心理的リアクタンス(反発心)が生まれる
 「自由を奪われている」「強制されている」と感じると、人は必ず反発します。
 → ますます相手の離婚の意思を固めてしまう。
2.感情的支配とみなされる
 泣き落としや脅しは、相手から見ると「理性ではなく感情で支配しようとしている」と映ります。
 → 関係に残っている信頼感が崩壊します。
3.問題の本質が隠される
 本当は解決すべき不満や価値観のズレが、感情的な攻撃や依存のやりとりにすり替わってしまう
 → 話し合いの余地がなくなる。

【心理学的背景】

この行動は「情緒的操作(Emotional Manipulation)」と呼ばれます。

 

短期的には相手の行動を変えさせる効果がある場合もありますが、長期的には必ず信頼関係を破壊すると、心理学の研究(特に非暴力コミュニケーション理論や夫婦カウンセリング理論)で示されています。

 

また、泣き落としや脅しによって離婚を一時的に避けられても、相手は「支配された」「仕方なく我慢した」という不満を持ち続け、将来さらに大きな別離の危機を生むケースが非常に多いです。

 

【やってしまった場合のリカバリー】

もし既に泣き落としや脅しを使ってしまった場合は、なるべく早く次のように修正します。

  • 「さっきの言い方は、感情が高ぶって冷静じゃなかった。ごめん。」
  • 「本当は、どうすればお互いにとって良い道が探せるのかを一緒に考えたい。」

自分の恐れや不安を正直に伝えつつ、相手に自由な選択権があることを認める姿勢が必要です。

第三者に圧力をかける

夫婦関係が悪化し、離婚を切り出されたりすると、当事者は自分だけでは解決できないと感じ、次のような行動に出がちです。

  • 親や兄弟、親戚に相談し、「相手を説得してくれ」と頼む
  • 共通の友人に「あなたからも注意してほしい」と依頼する
  • 子どもを味方につけ、「ママ(パパ)を説得して」と求める
  • 相手の職場や上司に状況を伝えて圧力をかける

一見、「周囲に助けてもらう正当な行動」に思えますが、心理的には相手を包囲して強制する行為と受け取られやすくなります。

【相手に与える心理的影響】

1.心理的リアクタンス(自由の喪失への反発心)が生まれる
 「自分の決断を無理やり変えさせようとしている」と感じると、人は必ず反発します
2.孤立と恐怖感
 「周囲がすべて敵になった」と感じると、防衛的・攻撃的になるか、完全に心を閉ざす
3.対話を放棄する理由になる
 「もう話し合う気はない」「決めるのは自分だ」と言って関係修復の道を完全に断つ可能性が高い。

【心理学的背景】

ゴットマン博士や非暴力コミュニケーション(NVC)理論では、夫婦間の根本的な問題解決は当事者の間での対話が原則とされています。

 

外部からの圧力は一時的に相手の行動を変えさせる場合があるものの、長期的には「強制された」という被害者意識を植え付け、関係の再構築を困難にすると数多くの研究で示されています。

 

特に子どもを味方につける行動は、子どもに深刻な心理的負担(ロイヤリティ・コンフリクト=親のどちらに忠実になるかの葛藤)を与え、将来的な親子関係にも悪影響を及ぼします。

 

【やってしまった場合のリカバリー】

すでに第三者に圧力をかけてしまった場合は、

  • 「あなたに直接話さず、他の人を巻き込んでしまったのは間違いだった。」
  • 「これからは二人で解決策を探したい。」

謝罪と態度の転換を言葉にして示すことが重要です。

【どうしても第三者が必要な場合】

どうしても二人だけで話し合えない場合は、中立的な立場の専門家(夫婦カウンセラー、ファミリーコンサルタント)を利用すべきです。

親族や友人ではなく、感情的圧力を加えない第三者が関与することで、相手も防衛的になりにくくなります。

相手の自由意志を否定する

離婚を切り出されたとき、もしくは離婚を考えられていると気づいたとき、多くの人は「なんとか止めたい」「説得したい」という強い気持ちになります。

その結果、次のような言葉や行動に出がちです。

  • 「離婚なんて絶対に認めない!」
  • 「子どもがいるから離婚なんかできるわけがない」
  • 「お前が考え直せばすべて元通りになる」
  • 「どうせ一時の感情だ。時間が経てば気が変わる」

これらは相手の自由な決断を認めず、自分の望む結果に従わせようとする行動です。

本人にそのつもりがなくても、相手には「コントロールされている」「意見を軽んじられている」と感じられます

【相手に与える心理的影響】

1.心理的リアクタンス(反発心)を強く引き出す
 心理学では、人が自由や選択権を制限されると、
 反発して逆の行動を取りたくなる性質(リアクタンス)があります。
 → 離婚を思いとどまるどころか、決意を固める。
2.「自分の気持ちは尊重されない」という確信を与える
 これまで我慢してきた人ほど、「やはりこの人は私の意志を理解しようとしない」と感じ、
 感情的な断絶(エモーショナルカットオフ)が起きやすくなる。
3.対話と妥協の可能性を閉ざす
 「どうせ話しても無駄」と相手が判断し、建設的な対話の扉を完全に閉じてしまう。

【心理学的背景】

この問題は自己決定理論(Self-Determination Theory)動機づけ面接法(Motivational Interviewing)でもよく知られています。

 

人は自分の意志で選択したと感じるときにだけ、責任を持ち、行動を変えようとするという心理的な特徴があります。

 

逆に、強制や説得で動かされたと感じると、行動変容は長続きせず、不満や反発が蓄積されます。

 

【自由意志を尊重する代わりの行動】

もし相手の離婚意思に反対したい場合でも、次のような姿勢が必要です。

  • 「あなたの考えを尊重する。ただ、私はこう感じている」
  • 「私はこの関係を続けたい気持ちがある。でも、無理にとは思わない」
  • 「どうすればお互いにとって良い道が探せるか、一緒に考えることはできる?」

このように、相手の自由な選択権を認めながら、自分の希望や努力する意思を冷静に伝えることがベストです。

離婚への知識、心理を十分理解したら離婚回避行動をいち早く実行する必要があります。具体的な離婚回避行動に移行して離婚を回避しましょう!

 

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