離婚届を渡された時、最初にやるべきこと

突然離婚届を渡されると、多くの人はショックや混乱で冷静な判断が難しくなります。

しかし、最初の対応がその後の夫婦関係や法的立場に大きく影響します。「感情で動かず、戦略的に行動する」ことが重要です。

まず感情的な反応を避ける

離婚届を渡された瞬間、多くの人は驚き・怒り・悲しみ・恐怖などの強い感情に襲われます。このとき、感情のままに行動すると、以下のような不利益や状況の悪化を招きます

感情的な反応が招くリスク

1. 相手の決意を固めてしまう

  • 怒鳴る・泣き叫ぶ・相手を責めると、相手は「やはりこの人とはやっていけない」と感じやすい。
  • 本来は「迷い」があった場合でも、感情的な反応が離婚の決意を強化する。

2. 法的に不利な行動を取ってしまう

  • 勢いで離婚届に署名すると、後で撤回できない。
  • 離婚届を破ったり隠したりすると、「協議に応じる気がない」「冷静さを欠いている」と判断され、調停や裁判で不利になる恐れ。

3. 冷静な判断ができなくなる

  • 感情が高ぶると、状況の客観的な把握や、自分が本当に望んでいることを見失う
  • 相手との話し合いや交渉がすべて感情論になり、問題解決から遠ざかる。

感情的な反応を避ける具体的な方法

1. その場で結論を出さない

  • 即答しない。「考えさせてほしい」「時間が必要」と伝える。
  • 「今すぐ答えないと逃げている」と言われても、「人生の大事な決断なので冷静に考えたい」と繰り返す。

2. 深呼吸と物理的距離を取る

  • 感情が高ぶったらその場を離れる
  • 可能であれば別の部屋や外に出る
  • 深呼吸を3〜5回繰り返し、心拍数を落ち着かせる。

3. 思考のフレームを切り替える

  • 「なぜ?」「どうして?」と考え始めると感情が膨らむので、
    「今、自分にとってベストな行動は何か?」と問い直す。

4. 誰かにすぐ相談する

  • 家族・友人・カウンセラーに状況を話すだけで、感情の整理がしやすくなる
  • 一人で抱え込むと、さらにパニックや怒りが増幅する。

なぜ冷静さが重要なのか(心理学の視点)

脳科学的に、人間は強い感情を感じたとき「扁桃体」が先に反応します。これは「戦うか逃げるか」の本能的行動を引き起こします。

 

しかし、理性を司る前頭前皮質が働くには数秒から数分の時間がかかります。つまり、数分待つだけでも冷静な判断がしやすくなるのです。

 

離婚届の提出防止を確認

離婚届は、夫婦の一方が署名・押印したものを役所に提出すれば成立します。相手が「もう話し合いは無理だ」と感じた瞬間に、あなたの意思に関係なく離婚が成立する危険があります。

特に、感情的なもつれや一方的な離婚意思が強い場合、無断提出(勝手に提出)のリスクが高まります。

このリスクを避けるために、速やかに「離婚届不受理申出」を提出することが必要です。

離婚届不受理申出とは?

離婚届不受理申出とは、役所に「私が同意しない限り、離婚届を受け付けないでください」と申し出る制度です。

この申出を出すと、たとえ相手が離婚届を提出しても受理されず、離婚が成立しません家庭裁判所の許可や相手の同意は不要で、本人の申し出だけで可能です。

提出方法

1. 提出先

  • 本籍地の役所または現在の住所地の役所(市区町村役場の戸籍課)

2. 必要書類・もの

  • 離婚届不受理申出書(役所でもらえる or ダウンロード可)
  • 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)

※印鑑は不要な自治体もありますが、念のため持参すると安心です。

3. 申出人

  • 離婚を拒否したい本人が提出します。
  • 配偶者や代理人は原則提出できません(委任状も不可)。

【注意点】

■ 有効期間

以前は6か月間の有効期限がありましたが、現在は申出を撤回しない限り有効(自治体によって異なるため確認要)。
将来的に離婚に合意した場合は、本人が不受理申出を取り下げれば離婚届が受理されます。

■ 役所への確認

自治体によって受付時間や手続き方法に若干違いがあるため、事前に戸籍課に電話確認するとスムーズです。

もし離婚届をすでに提出されていたら?

万が一、不受理申出をする前に相手が提出していた場合、役所に受理された時点で法的に離婚成立です。
この場合は、次のような対応が必要です:

  • 離婚無効確認訴訟を家庭裁判所に申し立て(成立が不当な場合のみ)
  • 弁護士に早急に相談

相手の離婚意思の「本気度」を確認

離婚届を渡されたとき、相手の気持ちが完全に決まっているとは限りません。中には、

  • 感情的な一時的行動(ケンカの勢い、失望、怒りの爆発)
  • 自分の気持ちを理解してほしいための「脅し」や「サイン」
  • 本気で離婚を考えている

この3つのパターンがあり、それぞれで対応方法が大きく異なるからです。間違った判断をすると、修復可能な関係を悪化させてしまう可能性があります。

離婚意思の「本気度」の見極めポイント

1. 離婚理由を冷静に聞き出す

感情的な対話ではなく、落ち着いた話し合いで理由を尋ねます。
聞き方の例:

  • 「どうしてこのように思うようになったのか、できれば教えてほしい」
  • 「どれくらい前から考えていたの?」
  • 「私たちがやり直す可能性はまったくないと感じているのか?」

  • 具体的な理由を説明できる人は本気度が高い。
  • 感情的な言葉(「もう嫌」「疲れた」)だけのときは、一時的な可能性あり。

2. 離婚についてどこまで準備しているかを確認

相手が財産分与・親権・住居・仕事などについても考えているかをさりげなく確認します。
準備が具体的であれば本気度が高く
何も決めていなければ感情的な行動の可能性があります。

3. 過去のパターンを振り返る

これまでにも離婚を話題にしたことがあるか?それとも今回が初めての離婚の話か?

初めての場合: 感情的な行動の可能性が高い。
何度も繰り返している場合: 本気度が増している可能性がある。

4. 「修復の可能性」を相手が完全否定するかどうか

  • 「冷却期間を取って考え直す余地があるか?」
  • 「夫婦カウンセリングなどに参加する気はあるか?」

これを完全に拒否する場合、本気度が非常に高いと考えられます。

本気度によって変わる対応策

  • 感情的・一時的 → 冷却期間を置き、感情を整理する時間を与える。
  • 半分本気(迷いがある) → 話し合いと第三者(カウンセラーなど)を介した対話。
  • 完全に本気 → 修復を急がず、相手の意思を尊重しながら自分の意思や条件を整理する(無理な引き止めは逆効果)。

【注意】

離婚を迫られたとき、多くの人が相手の「今」の言葉や態度だけで判断しがちですが、
相手の内心は時間と共に変わることが多いため、焦って結論を出さないことが非常に重要です。

第三者のサポートを準備

夫婦間の問題は、当事者同士だけで解決しようとすると感情的になりやすく

  • 話が平行線になる
  • お互いが被害者意識を持つ
  • 正確な事実や相手の意図が把握できなくなる

といった悪循環に陥ることが非常に多いです。

特に、離婚届を渡された状況では、相手も自分も冷静さを欠いているため、中立的で信頼できる第三者の存在が冷静な判断と解決策の鍵となります。

どんな第三者がサポートに適しているか

1. 信頼できる家族や友人

  • 条件:どちらか一方に偏らず、公平に助言できる人。
  • 役割:感情の整理のサポート、状況の客観的な意見提供。

※注意:家族や友人を介すと「親族間の対立」に発展することもあるため、慎重に人選する。

2. 夫婦カウンセラー(夫婦問題専門の心理士)

  • 条件:夫婦カウンセリングの実績がある専門家。
  • 役割
    • 感情の整理のサポート
    • コミュニケーションの改善指導
    • 問題の根本原因の発見
    • 双方にとって納得のいく解決策の提案

※特に性格の不一致、浮気、不信感の修復にはプロの支援が有効。

3. 弁護士

  • 条件:離婚問題の経験が豊富な弁護士。
  • 役割
    • 法的に自分にとって不利・有利な点の確認
    • 財産分与、親権、養育費などの情報提供
    • 必要な場合、相手との交渉の代理人

※注意:修復を望む場合でも法的知識を持っておくことは大きな武器になる。

4. 公的機関の相談員

  • 各市区町村の家庭相談室
  • 女性センター・男女共同参画センター
  • 配偶者暴力相談支援センター(DV・モラハラの可能性がある場合)

これらの機関では無料相談が利用でき、弁護士やカウンセラーの紹介を受けられることもあります。

第三者に相談するタイミング

  • 離婚届を渡された直後(感情が整理できない段階でもOK)
  • 相手との話し合いが感情的になり始めたとき
  • 具体的な解決策(別居、冷却期間、修復計画)が必要になったとき

早めの相談が有利。問題がこじれてからでは解決までに長い時間とコストがかかる。

なぜ「一人で頑張らない」ことが大事なのか

  • 感情的な混乱の中での判断は誤りやすい
  • 相手の言葉や態度に過度に振り回されるリスクがある。
  • 第三者の視点を借りれば、冷静な行動と将来を見据えた選択がしやすくなる。

自分の希望と妥協点を整理する

9離婚の危機や夫婦関係の修復を進める中で、相手との話し合いでは必ず交渉や妥協が必要になります。

しかし、事前に自分が何を譲れなくて、どこまでなら妥協できるのかを整理していないと、

  • 相手に言われるままになってしまう
  • 感情的にその場で判断して後悔する
  • 争点が増え、話し合いが混乱する

といった問題が起きやすくなります。
冷静な判断のためにも、事前の整理が不可欠です。

希望と妥協点を整理する手順

ステップ1|自分の希望を書き出す

自分が最終的にどうしたいのかを、正直に書き出します。
たとえば:

  • 離婚したくない/したい
  • 夫婦関係をどういう形で修復したいか(カウンセリング、冷却期間、改善策など)
  • 金銭面(生活費、財産分与)
  • 子どもの親権、養育費
  • 生活スタイルや将来の希望(別居でも関係継続なども含む)

具体的に書くことがポイント(例:「家計の浪費癖を直してほしい」「子どもとの週末の時間は必ず確保したい」など)。

ステップ2|希望の優先順位を決める

すべてを叶えるのは難しいため、

  • 絶対に譲れない希望(最低条件)
  • できれば叶えたい希望
  • 相手の状況次第で妥協できる部分

この3段階で分類します。

ステップ3|相手に妥協できるラインを考える

自分の希望に対して、相手が納得しやすい妥協ラインを考えます。
たとえば:

希望 妥協点
離婚はしたくない 一時的な別居には応じる(冷却期間)
子どもの親権を持ちたい 面会交流を柔軟に対応する
浮気の完全な反省と関係断絶 透明性の高い行動(位置情報共有など)で対応

ステップ4|相手との交渉に備える

  • 感情的にならず、冷静に自分の条件を伝える
  • 相手の提案にも耳を傾ける(一方的な主張は避ける)。
  • 第三者(カウンセラーや弁護士)を活用して、話し合いの進行役をお願いするのも有効。

なぜこの準備が重要か

  • 相手にペースを握られず、主導権を保てる
  • 感情的な圧力やその場の雰囲気に流されにくくなる
  • 夫婦双方が「現実的な解決策」を探る土台ができる
  • 無駄な争いを減らし、冷静な話し合いが可能になる

離婚への知識、心理を十分理解したら離婚回避行動をいち早く実行する必要があります。具体的な離婚回避行動に移行して離婚を回避しましょう!

 

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