離婚危機に直面したとき、多くの人は「弁護士=離婚を進めるための存在」と捉えがちですが、実は法律相談は離婚を避けるため(=関係修復や冷静な判断のため)にも有効に活用できる手段です。
特に、日本では国の公的機関である「法テラス(日本司法支援センター)」を活用することで、無料または低額で夫婦問題の法律相談が受けられる制度が整っています。
【法テラスとは何か】
① 公的な法律支援機関
法テラス(正式名称:日本司法支援センター)は、2006年に設立された国が設置した法的トラブル解決の総合窓口です。
弁護士や司法書士につなげる役割を持ち、資力(収入)が一定基準以下の場合は無料で法律相談が可能です。
② 相談できる分野は幅広い
夫婦関係(離婚・別居・親権など)だけでなく、借金、労働問題、相続、DV(家庭内暴力)、生活保護など、幅広い法律分野に対応しています。
③ 離婚回避にも使える
法テラスの相談は、離婚を前提としたものだけではありません。
- 「離婚を避けたいが、どう話し合えばよいか」
- 「法的に自分や子どもを守りながら、関係修復を目指したい」
といったケースでも利用できます。
1. 無料法律相談の仕組み
① 無料相談の対象
以下のいずれかに該当する場合、原則として無料で弁護士相談が可能です。
- 一定の収入・資産以下である(資力要件を満たす)
- DV、虐待、借金などの特別な事情がある
- 被災・失職などで一時的に経済的に困難な状況にある
資力要件(例:2025年現在の目安)
- 単身世帯:月収182,000円以下+資産180万円以下
- 2人家族:月収251,000円以下+資産250万円以下
※地域や条件により多少の変動あり
② 回数と内容
- 原則として1案件につき3回まで無料相談可能(30分/回)
- 夫婦問題(離婚・親権・財産分与など)は1案件として扱われる
- 必要に応じて継続的なサポート(弁護士の紹介や費用立替)も可能
③ 有料になる場合
資力基準を超える場合でも、法テラスを通じて有料相談を手配してもらえる場合があります。その場合は通常の弁護士相談料(30分5,000円程度)がかかります。
2. 夫婦問題で相談できる主な内容
法テラスの無料法律相談では、単なる離婚手続きの相談だけでなく、関係修復を見据えた現実的な法的助言も受けられます。
- 相手が離婚を口にしているが、自分は修復を望んでいる
- 法的にどうすれば「時間をかけて冷静に話し合いの場を持てるか」を知りたい
- 相手が家を出たが、関係を戻す余地を残したい
- 「別居→離婚」にならないための具体的な対応策を知りたい
② コミュニケーション・話し合いに関する法的視点
- 面会交流や別居の際の話し合いのルール作り
- 「離婚調停」になる前に、どのような準備・書面化をしておくべきか
- 関係を修復しながら、法的トラブルを回避するための助言
③ 財産・子ども・生活に関する実務的整理
- 財産分与・住宅ローン・共有名義の扱い
- 子どもの親権や養育費の整理(離婚前でも相談可能)
- 実家や親族との関係に関する法的立場の確認
④ DV・モラハラ・安全確保と修復の両立
- DVがある場合、離婚せずに安全を確保するための法的手段
- 接近禁止命令・一時的避難・生活保護などの制度活用
- 安全確保と関係修復を並行して考えるケースにも対応
【相談の流れ(初回〜継続利用)】
ステップ①:電話またはWebで予約
- 法テラスの全国共通ダイヤル(0570-078374)または公式サイトで予約
- 相談内容・経済状況・希望日時などを事前に伝える
ステップ②:資力確認(無料相談を受ける場合)
- 収入や資産状況を確認するため、源泉徴収票・給与明細・預金通帳などを提出
- 資力要件を満たせば無料相談対象となる
ステップ③:初回相談(30分)
- 弁護士や司法書士と直接面談(対面・オンライン対応可能な地域もあり)
- 夫婦問題の現状や希望を伝え、法的視点から整理してもらう
ステップ④:追加相談(最大3回まで)
- 初回で整理できなかった論点を深掘り
- 書類作成・対応方針の確認・第三者機関との調整など
ステップ⑤:継続支援の可否判断
- 必要に応じて、法テラス経由で弁護士に正式依頼(費用立替制度あり)
- 修復支援や協議書作成のアドバイスも可能
3. 法テラスを利用するメリット
| メリット | 内容 |
|---|---|
| 経済的負担が少ない | 資力基準を満たせば最大3回まで無料相談が可能 |
| 中立的な法的視点が得られる | 感情に流されず、法的に冷静な選択肢を整理できる |
| 離婚回避の方針を立てられる | 離婚する・しない以前に、現状を整理して対応策を立てられる |
| 安全確保の制度も同時に利用できる | DVなどがある場合、避難や保護命令の申請も可能 |
| 弁護士へのアクセスがしやすい | 紹介・費用立替制度で、スムーズに継続支援を受けられる |
4. 利用時の注意点・限界
| 注意点 | 内容 |
|---|---|
| 相談時間は30分と限られている | 事前に論点を整理して臨むことが大切 |
| 感情面のカウンセリングは行わない | 法的助言が中心。感情整理は別途カウンセラー活用が有効 |
| 無料相談は回数制限がある | 最大3回。複雑な事案は継続支援の利用も検討する |
| 弁護士によって対応スタイルに差がある | 合う・合わないもあるので、初回で印象を見極めることが重要 |
【相談を効果的に活用するための準備】
- 夫婦関係の現状を時系列で整理したメモ
- 相談したい論点を3つ以内に絞る(例:財産、子ども、話し合い方法)
- 自分の希望(離婚したい/回避したい/時間をかけたい)をはっきりさせておく
- 重要な書類(婚姻届控え、登記簿、給与明細など)があれば持参
ステップ①:電話またはWebで予約
法テラスの法律相談を利用するには、いきなり窓口に行くのではなく、まず「電話」または「Web(インターネット)」での予約が必要です。
このステップを丁寧に行うことで、後の相談をスムーズに進められ、限られた無料相談時間を有効に活用できます。
ここでは、予約の具体的な手順、準備しておくべき情報、電話とWebそれぞれの特徴、注意点を詳しく解説します。
1. 予約の目的と重要性
① 混雑を避け、スムーズに相談枠を確保するため
法テラスは全国的に利用者が多く、特に夫婦問題(離婚・親権・財産分与など)は相談件数が多い分野です。
予約なしで直接訪問しても、当日相談はできない場合が多いため、事前予約は必須です。
② 相談内容に適した弁護士・司法書士を選定するため
予約の際に相談内容を簡単に伝えることで、法テラス側が適切な分野の専門家(家庭問題・DV対応・財産関係など)を割り当てることができます。
③ 相談時間(30分)を有効に使うため
予約時に基本情報や論点を整理して伝えることで、初回相談が事務手続きで終わってしまうのを防ぎ、本題にしっかり時間を割けるようになります。
2. 電話予約の手順(全国共通ダイヤル)
① 電話番号
全国共通ダイヤル:
0570-078374(おなやみなし)
受付時間:平日 9:00〜17:00(土日祝・年末年始は休み)
※携帯電話・PHSからも利用可
② 予約時の基本的な流れ
- 自動音声案内で「最寄りの法テラス」へ転送される
- オペレーターにつながる
- 以下の内容を順に聞かれる(または伝える)
- 氏名・住所・連絡先
- 相談内容(例:「夫婦関係のトラブルで、離婚を避けたいと考えている」)
- 希望する相談日時(複数候補を用意しておくとスムーズ)
- 資力(収入・資産)の簡単な確認(無料相談対象かの判断)
- オンライン相談を希望するか、対面かの確認(地域により対応可否あり)
③ 電話予約のコツ
- 混雑時間(昼12時〜14時)を避けるとつながりやすい
- 相談内容は「できるだけ具体的に」伝える(例:「別居中で、親権と財産の話し合いをしたい」など)
- 日程候補は最低2〜3パターン用意しておく
- 無料相談の対象になるか知りたい場合、給与明細や源泉徴収票を手元に置いておくと便利
3. Web(インターネット)予約の手順
① 法テラス公式サイトからアクセス
トップページの「法律相談の申込」または「お問い合わせフォーム」から、オンライン申込画面に進みます。
② 入力する主な内容
- 名前・住所・連絡先(メールアドレス含む)
- 希望する相談方法(対面/電話/オンライン)
- 相談希望日時(複数候補を入力)
- 相談内容(200〜300字程度)
- 資力状況(年収・預貯金など)の簡単な記入
③ 送信後の流れ
- 数日以内に、法テラスの担当者から電話またはメールで折り返し連絡が入る
- 相談内容や資力確認、日程の最終調整が行われる
- 無料相談の対象かどうかもこの時点で仮判断される
【Web予約のメリット】
- 電話が苦手な人でも落ち着いて内容を整理できる
- 24時間いつでも申し込み可能(夜間・休日もOK)
- 相談内容を事前に文章で伝えるため、話が整理しやすい
【Web予約の注意点】
- 返信・日程調整は基本的に「平日の日中」に行われる
- 迷惑メールフォルダに連絡が入ることがあるので注意
- 緊急性が高い場合(DV・差し迫った別居・財産隠しなど)は電話予約が確実
4. 予約前に準備しておくべき情報
予約時には、以下の情報を整理しておくとスムーズです。
① 基本情報
- 氏名・住所・電話番号・メールアドレス
- 相談者本人の生年月日
- 同居・別居の状況、子どもの有無
② 相談したい内容(論点)
できるだけ3つ以内に整理しておくと効果的です。
- 相手が突然「離婚したい」と言い出したが、自分は修復を望んでいる
- 財産分与や生活費の話をどう整理すればいいか知りたい
- 子どもの親権や面会交流の法的立場を確認したい
③ 資力状況(無料相談希望の場合)
- 直近の給与明細、源泉徴収票
- 預貯金額、家賃、ローンなどの情報
※資力確認は「相談の可否」ではなく「無料対象かどうか」の判断に必要
④ 相談方法・日程の候補
- 対面/電話/オンラインの希望
- 都合のよい日時を2〜3候補用意する
5. よくある失敗と注意点
| 失敗・注意点 | 内容 | 対策 |
|---|---|---|
| 希望日時が1つだけ | 空きがないと予約できず、再調整が必要 | 複数候補を用意する |
| 相談内容が曖昧 | 適切な弁護士が割り当てられず、相談が浅くなる | 相談の目的と論点を整理しておく |
| 無料相談の対象確認を怠る | 当日有料になる可能性 | 事前に資力情報を用意し、電話時に確認 |
| メールの返信を見逃す | 予約が確定しないまま放置される | 迷惑メールも含めてチェックする |
| 緊急案件をWeb申込だけで済ませる | 対応が間に合わないことがある | DV・財産隠しなどは電話を優先する |
【予約をスムーズにするコツ】
- 相談内容は「感情」ではなく「事実+目的」で伝える
- 「修復したいのか」「離婚を検討中なのか」を明確にしておく
- 緊張する場合は、メモを見ながら話してよい
- 予約後は、当日相談に必要な資料を少しずつ準備しておくと安心
ステップ②:資力確認(無料相談を受ける場合)
法テラスで無料法律相談を受けるためには、最初に「資力(経済状況)」の確認が必要です。
これは、相談内容をふるいにかけるものではなく、無料相談の対象になるかどうかを判断するための制度上の手続きです。
このステップをきちんと理解し、準備しておくことで、当日の相談をスムーズに進めることができます。
1. 資力確認の目的
① 無料相談の対象者を公平に判断するため
法テラスは国の予算によって運営されているため、限られた財源を本当に支援が必要な人に重点的に提供するため、収入や資産の確認が義務付けられています。
② 経済的に困難な状況でも法的支援を受けられるようにするため
弁護士費用を払えない人でも法的トラブルを放置せず、早期に対処できるようにするのが法テラスの目的です。
資力確認を経ることで、無料相談や弁護士費用の立替制度など、さまざまな支援策が利用可能になります。
③ 相談時間を有効に使うため
事前に資力確認を済ませておくことで、初回の30分相談が「手続き」で終わるのを避け、本題に集中できるようになるという実務的なメリットもあります。
2. 無料相談の資力基準(2025年時点の目安)
法テラスでは、以下のような月収・資産の上限基準を設けています。家族構成によって基準が異なります。
| 家族構成 | 月収の上限(目安) | 資産の上限(目安) |
|---|---|---|
| 単身者 | 約182,000円以下 | 約180万円以下 |
| 2人家族(例:夫婦または親+子1人) | 約251,000円以下 | 約250万円以下 |
| 3人家族(例:夫婦+子1人) | 約272,000円以下 | 約300万円以下 |
| 4人家族 | 約299,000円以下 | 約350万円以下 |
※「月収」には給与所得だけでなく年金・手当なども含まれます
※「資産」には預貯金、有価証券、土地・建物などが含まれます
※地域や物価水準により一部調整が入る場合があります
3. 資力確認に必要な書類
無料相談の対象かどうかを判断するために、収入と資産の証明書類を提出(または持参)する必要があります。
① 収入を証明する書類
- 給与明細(直近1〜2か月分)
- 源泉徴収票(直近のもの)
- 年金振込通知書(受給者の場合)
- 雇用保険受給証明書(失業中の場合)
- 生活保護受給証明書(受給者の場合)
② 資産を証明する書類
- 預金通帳(残高が分かるページ)
- 貯金明細(ネットバンクの場合は画面の印刷でも可)
- 不動産登記簿謄本や固定資産税納付書(持ち家がある場合)
- 株式や投資信託などの金融資産の残高明細(必要に応じて)
③ 本人確認書類(身分証)
- 運転免許証
- マイナンバーカード
- 健康保険証+公共料金領収書など
4. 審査の流れ
ステップ①:予約時のヒアリング
電話またはWeb予約の際に、収入や世帯構成などの簡単な質問があります。ここでおおよその対象可否が判断され、必要書類が案内されます。
ステップ②:書類の提出
初回相談の前または当日に、必要書類を提出(郵送・持参・オンラインアップロード)します。提出方法は地域の法テラスによって異なります。
ステップ③:法テラス側の確認
担当者が提出書類を確認し、無料相談の対象になるかどうかを正式に判断します。問題がなければ、そのまま無料相談が適用されます。
ステップ④:相談実施
資力確認が完了したうえで、弁護士や司法書士との初回相談(30分)が行われます。この段階で対象外と判定された場合は、有料相談に切り替わることもあります。
5. よくある注意点と失敗例
| 失敗・注意点 | 内容 | 回避策 |
|---|---|---|
| 書類の準備が間に合わない | 相談日当日に資力確認が終わらず、相談時間が短くなる | 予約後すぐに必要書類を確認・準備する |
| 不完全な書類を提出 | 残高が不明・古い給与明細などで再提出になる | 最新かつ全ページを揃える |
| 「世帯収入」を勘違い | 自分だけでなく、同居家族の収入も含まれる | 同居者の収入証明も必要 |
| 資力がギリギリ | 判定に時間がかかり、当日相談に間に合わない | 不明点は事前に法テラスに確認する |
| 資産を過少申告 | 後から判明すると無料相談が打ち切りになる | 正確に申告する(不利になるとは限らない) |
【無料相談対象外になった場合の対応】
資力基準を超えて無料相談の対象外になった場合でも、以下の選択肢があります。
- 通常の有料相談(30分5,000円程度)をそのまま受ける
- 地方自治体の法律相談(無料または低額)を利用する
- 法テラスの「弁護士費用立替制度(民事法律扶助)」を利用して、費用を分割で返済する
無料対象にならなかったからといって、法的支援が一切受けられなくなるわけではありません。
【効果的な準備のコツ】
① 予約後、できるだけ早く書類を確認・収集する
特に給与明細や通帳は普段から整理しておくと、提出がスムーズになります。
② 不明な点は事前に電話で確認
必要書類は相談内容や地域によって多少異なる場合があるため、早めに問い合わせると無駄がありません。
③ 1枚のチェックリストを作る
自分と配偶者の収入・資産の情報を一覧表にしておくと、提出漏れや口頭説明のときに役立ちます。
ステップ③:初回相談(30分)
法テラスの無料法律相談は、1回あたり30分と時間が限られています。この初回相談は、単に話を聞いてもらうだけではなく、夫婦問題を法的な観点から整理し、離婚回避に向けた現実的な方針を立てる重要な第一歩です。
30分という短い時間を最大限に活かすためには、相談前の準備と当日の進行が鍵になります。
1. 初回相談の目的
① 夫婦問題を法的な視点で整理するため
感情的な対立が激しいと、問題が複雑に見えてしまいがちです。
弁護士は、事実関係や権利関係を法的なフレームに整理し、**論点を「見える化」**してくれます。
② 離婚・別居・修復のいずれを目指すか方向性を明確にするため
離婚を避けたいのか、時間をかけて冷静に考えたいのか、それとも別居を一時的に選ぶのか――この方向性を曖昧にしたままだと、弁護士も適切な助言ができません。
初回相談は、自分の希望や現状を整理し、方向性を共有する機会になります。
③ 今後の具体的な対応ステップを確認するため
- 相手との話し合いをどう進めるか
- 合意書を作るべきか
- 調停・裁判に移る前に何を準備すべきか
こうした「次の一歩」を専門家の視点から明確にすることが、初回相談の最も重要な成果です。
2. 相談の基本的な進め方(30分の流れ)
初回相談は、以下のような段階で進行します。
| 時間帯(目安) | 内容 |
|---|---|
| 0〜5分 | 相談者の自己紹介・現状の概要説明 |
| 5〜15分 | 事実関係の整理(弁護士からの質問含む) |
| 15〜25分 | 法的観点からの助言・今後の選択肢の提示 |
| 25〜30分 | 質問の最終確認・必要書類や次回ステップの案内 |
30分は非常に短いため、最初の5〜10分で「現状を端的に整理して伝える」ことが成功のカギになります。
3. 相談時に話すべき内容と優先順位
弁護士相談では、感情を長く語るよりも、「事実」と「希望」を明確に伝える」ことが重要です。以下の順番で話すと、短時間でも要点を正確に伝えられます。
① 現在の状況(事実)
- 結婚年数、家族構成(子どもの有無)
- 現在の同居/別居の状態
- 相手との関係悪化の経緯(簡潔に)
- 相手の離婚意思や態度
「結婚して15年で、子どもは中学生が1人です。半年前から別居しており、相手から離婚したいと言われています。私は修復を希望しています。」
② 自分の希望(方向性)
- 離婚したくない(修復したい)
- しばらく冷却期間を取りたい
- 話し合いを公正に進めたい
- 相手が感情的なので、第三者を介したい
「私は離婚は避けたいと思っています。冷静な話し合いの場をつくるために、法的にどんな方法があるかを知りたいです。」
③ 相手の行動・主張
- 相手が既に弁護士に相談しているか
- 離婚届を提出しようとしているか
- 財産や子どもに関する主張の有無
- 不倫・DV・借金などの問題の有無
「相手はすでに弁護士に相談しているようで、財産分与の話を急いでいます。不倫などはありません。」
④ 確認したい具体的な論点(2〜3点)
30分の中で深掘りできるのは多くても2〜3論点です。優先順位をつけて質問します。
- 別居を続けながら修復を目指すことは可能か
- 相手が一方的に離婚届を提出することを防ぐには
- 合意書や話し合いの法的ルールをつくるにはどうすればよいか
4. 弁護士からよく聞かれる質問
弁護士は事実を整理するため、以下のような質問をしてきます。あらかじめ答えを整理しておくと、相談がスムーズに進みます。
- いつ結婚し、いつから関係が悪化したか
- 現在の生活費・住宅の名義・財産の状況
- 子どもの親権・養育についての希望はあるか
- 相手が離婚を希望している理由は何か
- これまでに話し合いをしたか、その内容はどうだったか
- 相手の暴力・不倫・借金など特筆事項はあるか
5. 当日の持ち物と服装
① 持ち物
- 身分証明書(運転免許証・保険証など)
- 収入・資産証明書(資力確認がまだの場合)
- 結婚証明や登記簿、財産関係の資料(可能であれば)
- メモ帳と筆記用具
- 事前にまとめた相談メモ(A4一枚程度)
② 服装
特にフォーマルである必要はありませんが、落ち着いた印象を与える服装がおすすめです。相談内容が夫婦関係や親権などデリケートな場合、印象が相談の雰囲気を左右することもあります。
6. よくある失敗例と回避策
| 失敗パターン | 問題点 | 回避策 |
|---|---|---|
| 感情的な話に時間を使いすぎる | 法的論点に入る前に時間切れになる | 事前に話す順番と要点を整理しておく |
| 論点が多すぎる | どれも中途半端に終わる | 重要な2〜3点に絞る |
| 相手の悪口や感情のぶつけ合いになる | 弁護士が論点を把握できない | 事実と希望を中心に話す |
| 資料を持ってこない | その場で確認できず、次回に持ち越しになる | 最低限の資料は準備しておく |
| 質問をし忘れる | 限られた時間を活かせない | 事前に質問リストを作る |
【初回相談を最大限活かすコツ】
- 「事実」と「希望」をA4用紙1枚に整理して持参する
- 相談前に、最も聞きたいことを3点まで書き出しておく
- 弁護士の説明はメモを取り、重要な部分を聞き逃さない
- 分からない専門用語はその場で必ず確認する
- 終了5分前には「質問の最終確認」をする
ステップ④:追加相談(最大3回まで)
法テラスの無料法律相談は、1案件につき最大3回(各30分)まで無料で受けられるという制度が設けられています。
初回相談で問題をすべて解決できるケースは少なく、夫婦問題は特に複雑で感情面・法的側面・生活面が絡み合うため、複数回の相談を通じて方針を具体化・精緻化していくことが現実的です。
この「追加相談」は、単なる延長ではなく、初回相談で得た情報をもとに、実際の行動計画をつくり、必要に応じて書類の整理や次の法的ステップの準備を進める段階です。
1. 追加相談の目的
① 初回相談で整理しきれなかった論点を掘り下げる
30分という短時間では、すべての問題をカバーできないことが多いです。追加相談では、優先度の高いテーマを順番に深掘りしていくことで、具体的な対応策を固めていきます。
② 合意書・話し合い方針などを現実的な形に落とし込む
初回で「方向性」を決め、追加相談で「具体的な形」にするのが理想です。たとえば、修復を目指す場合は話し合いのルールや文書化、離婚を回避しつつ別居を続ける場合は生活費や財産管理などの取り決めを整える段階になります。
③ 相手の動きや状況の変化に応じて対応を検討する
夫婦問題は短期間で相手の態度や状況が変わることが少なくありません。追加相談は、その変化に応じて方針を柔軟に見直す機会にもなります。
2. 回ごとの進め方と活用イメージ
【第2回相談】(初回から2〜4週間後が目安)
目的:初回で出た課題の整理・資料確認・具体策の立案
主な内容:
- 初回相談後の進捗や相手の反応の報告
- 法的に整理すべき論点の深掘り(例:財産・親権・面会交流)
- 話し合いの進め方や合意書作成の方向性を相談
- 必要な追加資料の確認
「前回相談後に話し合いの場を1回持ちましたが、相手が財産分与の話を急いでいます。こちらは修復を目指したいのですが、どのように対応すべきでしょうか?」
【第3回相談】(第2回から数週間〜1か月後)
目的:話し合いの結果を踏まえ、次のステップを最終確認
主な内容:
- 合意形成の進捗確認
- 交渉・話し合いで出た課題の整理
- 今後必要な書面・手続き(合意書・公正証書など)の確認
- 調停・弁護士委任の必要性があるかどうかの判断
「合意書の下書きを作ってみたので内容を確認してほしい」
「相手が調停を申し立てる可能性が出てきたので、その場合の流れを知りたい」
3. 追加相談を最大限活かすためのコツ
① 相談内容を事前に整理し、1回ごとにテーマを絞る
1回30分という制限は変わらないため、毎回のテーマを1〜2点に絞ることが必須です。
- 第2回:生活費・財産関係の整理
- 第3回:合意書や今後の方針の確定
② 相手との話し合いや経過を「記録」して持参する
弁護士が状況を正確に把握できるように、次のような資料を持参すると効果的です。
- 話し合いのメモや録音の文字起こし(要約でOK)
- 相手からのメールやLINE(重要部分を印刷)
- 合意書や提案書の草案
③ 初回相談で言われた「宿題」をきちんと準備しておく
弁護士から「次回までにこれを持ってきてください」と言われた書類や資料は、必ずそろえておきましょう。
資料が不足すると、相談時間が再び手続きや確認に費やされてしまいます。
④ 相談のたびに「目的」を言語化する
- 「今回は財産関係を整理したい」
- 「合意書を弁護士にチェックしてもらいたい」
- 「相手の調停申立てに備えて準備をしたい」
明確な目的があると、弁護士も時間配分を最適化しやすくなります。
ケース①:修復を目指している場合
- 相手との話し合いルールの整備
- 合意書(夫婦間契約)の作成サポート
- 別居中の生活費・子どもとの面会の取り決め
- 家族や第三者を交えた話し合いの法的整理
ケース②:別居中に関係を冷静に見極めたい場合
- 別居中の生活費(婚姻費用)の確認と請求手順
- 財産管理や住宅ローンの扱いの相談
- 子どもとの面会交流の条件整備
- 相手が離婚を急いでいる場合の対策
ケース③:相手が調停や離婚手続きに動き始めた場合
- 調停申立てへの対応準備(必要書類・方針整理)
- 弁護士依頼が必要かどうかの判断
- 訴訟になる前に合意形成を試みるための戦略立案
- 自分の権利・義務の確認
ケース④:DV・モラハラなど安全確保と修復を両立する場合
- 保護命令や一時的な避難措置の法的手続き
- 安全確保と話し合いの両立プラン
- 子どもの安全や親権の取り扱い
- 必要に応じた専門機関との連携
4. よくある失敗と注意点
| 失敗・注意点 | 内容 | 回避策 |
|---|---|---|
| 毎回同じ話をしてしまう | 論点が前に進まず、回数だけ消化してしまう | 相談ごとにテーマと目的を明確にする |
| 資料や経過記録を持ってこない | 弁護士が状況を把握できず、時間がかかる | 話し合い記録・書類を整理して持参する |
| 感情的な話で時間を使いすぎる | 法的論点に入る時間が不足する | 感情の整理は別途ノートなどで行い、相談では事実と希望を中心に話す |
| 回数の上限を意識せず使い切る | 本当に必要なときに相談枠が残っていない | 優先順位をつけ、計画的に利用する |
| 弁護士任せにしすぎる | 自分の判断軸が育たない | 相談を通じて自分も選択肢を理解・整理する姿勢を持つ |
【追加相談の上手な活用法(戦略的利用)】
① 初回で「全体像」を整理し、追加で「具体化」する
第1回:方向性の確認
第2回:具体的な法的・実務的整理
第3回:次の行動ステップの決定(話し合い or 調停 or契約)
② 「1回で完結させない」意識を持つ
夫婦問題は一度の相談で結論を出すのではなく、段階的に整理・実行していくことが現実的です。
③ 相談後は必ず「要点メモ」を残す
相談内容・助言・次回までの課題を、A4用紙1枚にまとめておくと、話し合いや修復活動にも役立ちます。
ステップ⑤:継続支援の可否判断
法テラスでの最大3回の無料相談が終わると、次の段階として必要になるのが「継続支援の可否判断」です。
これは、あなたの夫婦問題が“短期的な相談”で解決できるのか、それとも“中長期的な法的支援”が必要なのかを見極める重要なステップです。
特に離婚危機や夫婦関係の修復には、話し合い・合意書作成・調停対応など、時間をかけた計画的な対応が必要になることも多く、継続支援への移行が現実的な選択肢になる場合があります。
1. 継続支援判断の目的
① 相談で終わらせず、実際の行動に移すため
法テラスの無料相談は、あくまで「方針整理」の段階です。複雑な夫婦問題の場合は、その後に弁護士を正式に依頼したり、法的手続きへ進む必要が出てきます。
この段階で「継続的な支援が必要かどうか」を見極めることで、迷走や放置を防ぎます。
② 問題の深刻度や複雑さに応じた対応レベルを決めるため
夫婦問題には軽度(話し合い・合意書レベル)から重度(調停・裁判・DV対応)まで幅があります。
状況を整理したうえで、「相談で十分か」「専門家の支援が必要か」を冷静に判断することが、このステップの本質です。
③ 不必要な弁護士費用を避け、必要な場合に的確に支援を受けるため
継続支援は、正式な弁護士委任に進むこともあります。この判断を曖昧にしたまま進むと、費用面や時間面でのロスが生じるため、事前に方針を明確にすることが重要です。
2. 判断のタイミング
継続支援の可否判断は、以下のようなタイミングで行われます。
| タイミング | 判断の主な内容 |
|---|---|
| 無料相談3回目の終盤 | 弁護士と相談しながら、今後の必要支援レベルを話し合う |
| 問題が複雑化・長期化しそうなとき | 調停や契約書作成が必要になった段階で判断 |
| 相手が法的手続きに踏み切ったとき | 調停申立て・離婚届提出などへの対抗策を検討 |
多くの場合は「3回目の相談の終盤」で、弁護士から「ここまで整理できたので、今後どうしますか?」と確認が入ります。このときに、継続支援の可否を一緒に検討する形になります。
3. 継続支援の具体的内容
継続支援と一口にいっても、いくつかのパターンがあります。あなたの状況に応じて、最適な支援内容が選択されます。
① 弁護士費用立替制度(民事法律扶助)による正式委任
- 法テラスが弁護士費用をいったん立て替え、利用者が分割で返済する制度
- 修復・離婚回避を目的とした交渉や調停対応にも利用可能
- 経済的に負担を抑えながら継続的な弁護士サポートが受けられる
② 書面作成や交渉サポートのみ(限定支援)
- 調停までは進まず、夫婦間契約書(合意書)や話し合いのサポートのみを依頼するケース
- 法的に強い文書を作成することで、相手との話し合いを有利に進められる
③ 調停・裁判への正式対応
- 相手が離婚調停を申し立てた、あるいは財産分与・親権問題で法的対抗が必要な場合
- 弁護士を正式に依頼し、代理人として活動してもらう形になる
④ 継続的な法律相談のみ(非委任)
- 正式な依頼はせず、必要なときに継続的に相談を受ける形式
- 話し合いや修復を主体に進めつつ、**法律的な助言を随時得る“後方支援”**として活用するケース
4. 継続支援が必要になる主なケース
| ケース | 内容 |
|---|---|
| 相手が離婚調停・訴訟を起こした | 弁護士による法的対応が不可欠になる |
| 財産分与・親権・養育費などが複雑 | 書類作成や交渉に専門的知識が必要 |
| 話し合いが感情的に難航している | 第三者交渉や法的整理が有効になる |
| DV・モラハラなど安全確保が必要 | 保護命令や避難、調停併用の支援が必要 |
| 離婚を避けたいが相手が強硬 | 交渉戦略・法的対応の継続が現実的になる |
【継続支援を受けるまでの流れ】
ステップ①:相談結果の振り返り
無料相談3回を通して、弁護士と一緒に現状の法的論点と方針を確認します。
ステップ②:支援内容と費用の説明
- どのような支援を行うのか(書類作成・交渉・調停など)
- 費用はいくらかかるか、立替制度が利用できるか
- 支援の期間・見通し
ステップ③:資力審査(立替制度を利用する場合)
弁護士費用立替を利用する際は、再度資力(収入・資産)の審査が行われます。
無料相談と同じように、書類提出が必要です。
ステップ④:契約書の締結(委任契約)
支援内容・費用・期間などを明記した契約書を作成し、正式に弁護士と契約します。
ステップ⑤:継続的な支援の開始
- 話し合い・交渉・書面作成・調停対応などを実施
- 定期的な面談や進捗確認を行いながら進めていきます
5. 判断時の注意点と活用のコツ
| 注意・コツ | 内容 |
|---|---|
| 無理に弁護士依頼に進む必要はない | 相談だけで十分なケースもある。弁護士任せにしない |
| 費用は事前にしっかり確認する | 契約前に総額・分割・追加費用の有無を必ず確認 |
| 継続支援の内容は自分でも把握する | どこまでを依頼し、何を自分で行うかを明確にする |
| 「立替制度」は返済が必要 | 無料ではないため、返済計画を理解しておく |
| 方向性(修復 or 離婚)をはっきりさせる | 目的が曖昧だと支援内容がぶれる原因になる |